山に囲まれ

舞茸はスーパーで買うもの、そう思って生きてきましたが、原木栽培という手段で天然物と同じような見た目、大きさ、味、食感の舞茸が収穫できるという先人たちの知恵があることを知りました。そもそも山だらけの長野県、この環境を生かさずに何をするのか。これはどう考えても舞茸を育てないといけないんじゃないかと、これは僕らに課された命題であると、なぜか思ったのが2020年。

設備にお金がかかる、管理が大変など、とにかく手間がかかるという情報を目にしつつも、とりあえず植えてみればいいんじゃないかと、近所の栗の木を伐採して植菌を試みました。
ネットで仕入れた情報をもとに万全の対策をし、最終的にはうまくいかなくても別に・・・と軽い気持ちで50本のほだ木を準備。築60年の借家の空き部屋を培養ルームと称し、管理と観察を開始。

埋めてみた

なんとなく白くなってきた、「でもこれはカビだろ」「やっぱりうまくいかんもんだな」と思いつつ、まだ白くないのもあるから最後まで見てみることとし、様子をうかがうことさらに2週間。さらに白いものが増え・・・なんかカビとは違うんじゃないか??これは菌だ!舞茸の菌だ!舞茸栽培への扉を開けた瞬間です。

その後3か月で50本中47本に舞茸菌の発生とほだ木の完熟を確認し、土に埋め込むことに。ここでもとりあえず精神を発揮。埋めたら答えが出るんじゃないかと、手掘りした穴に願いを込めて埋め込んでみる。いろいろうまくいってれば今年に出るらしい、でも来年でもいいだろう。まだレジャー感覚で土をかぶせ舞茸の出現を待つことにしたのです。

そして収穫へ・・・

出るか出ないかわからない、素人集団の舞茸栽培はスタートできるのか。秋になって気温が下がってくると、出るんじゃないか、いいや期待しちゃだめだ、おいおい出ると思ってるのかよ等のプラスとマイナスの感情が交錯する日々。
秋かな~と感じてきたある日、目に飛び込んできたのは周囲の草木とは明らかに異なる見た目、ついに出た!舞茸だ~!それからは毎日観察し、無事の成長に目を細めつつ、ここぞというタイミングで舞茸を収穫!!噂よりは小さいものの、明らかにスーパーで売っているものとは異なる見た目。これだ、これが舞茸、まさしく『木の子』なんだ!

そして、収穫した原木舞茸を食してみると、知っていた舞茸とは食感、味ともに別のもの。舞茸の花形は先端のひらひらではなく、茎部分であるという衝撃の事実も体感することとなりました。(食したメニューは「舞茸のフライ」!これは僕らに舞茸栽培の手法を教えてくださった方のオススメなのです、いやいや天ぷらだろ、まじかと思いつつもうまさにびびる。)

これから

かくして、実験のように始まった原木舞茸栽培は10数個を収穫し初年終了。このわずかな成果で舞茸って育てられる!という感触を得てしまった結果、今に至るのです。それだけの量でどうするの?とお思いになるかもしれません。実際2年目に栽培規模をどれだけ拡大できるか未知数ではあります。それでも長野県の原木から舞茸を育て、地元の人はもちろん、自然を満喫しに来る観光客の皆様、そしてまだ原木舞茸を知らない人にもお届けできるよう、可能な限りの努力をしていきたいのです。ゆくゆくは原木舞茸を松本市の特産にすべく少しずつではありあますが確実に、木の子の味と喜びを広めるために動き出すこととしたのです。

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